ホッチキスで柱を立てるターテル
 
 ターテルとは
 壁に何かを取り付けたいたとき、困るのはビスが使えないときです。石膏ボード壁にビス打ちが絶対のDIYでは下地板を探す、下地板がない場合はボードアンカーを使うというのが一般的です。しかし、賃貸であろうとなかろうと誰でもビス穴を壁に開けるのは避けたいところでしょう。
壁にキズをつけずビスを使うもっとよい方法がないでしょうか?
プッシュピンやホッチキスを使う方法? それは力不足、代わりになりません。
考えてみれば木の柱さえそこにあれば問題ないのです。ならば柱を壁に貼り付けてしまえ、という発想でできたのが本品です。つまりホッチキスまたはタッカーで石膏ボード壁に柱を貼りつけ、柱さえあればあとはいかようにもビスが使えるということです。設置するモノはビスによって柱にしっかりと固定されます。柱はホッチキスやタッカー針という弱い力でしか壁に固定されていないのですが、柱は床からの抗力を得られるためモノに対する耐荷重は大きくなります。モノを宙に浮かせた状態でホッチキス、タッカー針やプッシュピンだけで支えているのに比べて耐荷重は飛躍的に大きくなります。
 ディアウオールやラブリコなどの突っ張り用具で柱をたてるのも発想は同じです。違いはどう柱を立てるかだけ。突っ張り式かホッチキス式(ホッチキスおよびタッカー共通の呼称です)かの違いです。

 
 本品のデメリット
① 壁が石膏ボードなどステープル、タッカー針針が刺さる基材でないと使えません。
② 壁から離れたところに柱を立てることはできません。
③ 本品はDIYで最も広く利用され、どこのホームセンターにもある北米材の1×4インチ材および2×4インチ材専用です。これと異なるサイズには使えません。
④ 突っ張り式に比べると耐荷重力は小さい。

 本品のメリット
① 天井が軟弱でも傾斜していても関係なく使えます。
② 柱の長さについての制約がありません。突っ張り式の場合突っ張りの効く長さに正確にカットする必要がありますが、本品の場合そういう制約はありません。ホームセンターで購入したままカットせずに使うこともOKです。
③ 圧迫による柱の湾曲が発生しません。突っ張り式では上下から力がかかるので厚みの薄い1インチ材は湾曲しやすいのですが、本品ではそういう問題は起こりません。そのため本品は特に1×4材の利用に適しています。室内用途でビス止めする場合、ビスの食い込み深さが19ミリあれば充分です。
④ 柱に加わる横からの力に強くなります。突っ張り式の場合、壁と柱の間は完全な空間になります。一方本品の場合、上と下と2箇所で壁と柱との間に接点があります。そのため室内側から加わる力に対して接点で壁からの応力が柱に働くのでたわみにくくなります。
⑤ 柱の室内側への張り出しを最小に抑えられます。突っ張り式の場合、どんなに壁際に寄せて柱を立てようとしても通常の住宅内装で使われている廻縁や巾木より更に数センチ離れた地点にしか柱を立てられません。一方本品の場合廻縁や巾木に接して立てることができます。
上記の④と⑤については下のイラストをご覧いただけるとわかりやすいと思います。

 
 
 キズの許容限度
 賃貸住宅でネジクギを壁に打つことはご法度です。しかしステープル針やピン針を使うことは一般的に認められています。これはステープルやピンの穴は通常消耗とみなされ一般的に借主は修繕義務を負う必要がないとされているからです(国交省H23.8 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン)。
それぞれの穴の大きさにそれぞれどれくらいの違いがあるのでしょう。
ネジ(細軸のもの)      直径  3.2mm
ピン (プッシュピン)    直径  1.2mm
ホッチキス(ステープル)   最大幅 0.7mm
タッカー(足長8mm)   最大幅 0.8mm
壁に残す穴の大きさは直径または幅の2乗に比例します。ホッチキスを1とすると
ネジ(細軸)        20
ピン (プッシュピン)     3
タッカー(12×8mm)    1.3
ホッチキス(ステープル)    1 
という比率になります。


 石膏ボード壁用
 ターテルは石膏ボードの壁に適しています。最近の住宅では石膏ボード(プラスターボード)という建材が壁の基材として広く使われています。石膏ボードはネジクギの保持力は弱いのですが材質が柔らかくてステープルやピンの針などを簡単に刺し込めるという特徴があります。石膏ボードかどうかはピンを壁に差し込んでみればわかります。もし基材が合板だと簡単にはピンは入りません。ピンが簡単に入って抜くとピン先に白い粉のようなものが付着していれば石膏ボードです。本品はホッチキスで留める仕様となっています。ただ針が刺さるのであればもちろん他の材質の壁にも使えます。例えば桧、杉、パインといったやわらかい材質の板壁なら石膏ボード壁と同じように本品を使うことができます。ただし板壁に打ち込んだホッチキスの痕は石膏ボード壁より目立ちます。
 

 取り付けに必要なホッチキスまたはタッカー
 ターテルの取り付けには180度に開くタイプのホッチキスの本体(注1)またはタッカーが必要です。ホッチキスは口によく似た構造で上あご(針を出す側)と下あご(針を受ける側)の間にモノを挟んで綴じます。本品ではホッチキスの針を綴じるためではなく打ち込むために使います。そのため下あごは使わないので邪魔になります。そこでホッチキスを180度に開き、上あごだけ使える状態にします。そして針の出口を打ち込む面に密着させてあごに力を加えて針を押し出します。針は付属のステンレスの10号針を使います(注2)。事務用に広く使われている普通のスチールでも良いのですが長期にわたって錆びる心配のないステンレスがベターです。
 タッカーの場合はホッチキスのように特殊な使い方をする必要がありません。タッカーをその仕様どおり使います。手打ち式のガンタッカーなら1000円ほどで市販されています。
注1 : 例えばMAX HD10Dなどがあります。値段は350円くらいです。
 なお180度に開かないタイプのホッチキスを開くように改造した方のブログをご参考までに紹介いたします。  
http://woodhome.seesaa.net/ 
注2 : 1セットにつきステンレスステープル針50本付属しています。タッカーの場合はお客様にてご用意お願いします。


 構造 
 ターテルには柱を4インチ(約9センチ)の幅を正面に向けて立てるためのターテルW(この立て方を以下「寝かして立てる」と言います)と1インチまたは2インチの厚みを正面に向けて立てるためのターテルT(この立て方を以下「起こして立てる」と言います)の2種類があります。両方とも柱を直立させるためには柱の上下2点を固定する必要があるので2個で1セットです。
ターテルWは3つの部材により構成されています。
A 受け台。底板と左右の側板よりなる本体。底板にはホッチキス打ち込み用のテープ(B)が背面に装着されていて、片方の側板には手回しネジ(C)が付いています。
B ホッチキス打ち込み用テープ(以下「テープU」と呼びます)。
C 手回しネジ(以下「ネジ」と呼びます)。
ターテルTには上の3つの部材に加えて柱の幅面を横から支える支持材が追加されます。受け台の幅のサイズは4インチ(実寸89ミリ)に合うようになっているので、柱を寝かして立てる場合はそのまま使えます。しかし柱を起こして立てる場合はブカブカになります。支持材はそのブカブカ状態を解消するための部材です。つまり2×4材の場合は50ミリ、1×4材の場合は70ミリ充填すればよいことになります。
D 支持材 幅25ミリ×2枚 =50ミリ
E 支持材 幅25ミリ×2枚+幅20ミリ×1枚=70ミリ  
支持材の片方の厚み面には受け台の底板に嵌め込むための溝がついています。受け台の底板にこの溝から嵌め込みます。


ターテルW 使い方
 ターテルWを使って2×4材を寝かして立てる方法をご説明します。ターテルWは1×4材、2×4材共用ですので1×4材を立てる場合も全く同じです。
 本品を使って柱を立てるとは本品を柱に取り付けた合体を壁際に立てることです。それで完成となります。ステップ1では壁から離れたところで柱に本品を合体させます。ステップ2でその合体を壁際に立てて仮り止めします。ステップ3では合体を一端分離し、受け台をホッチキスで固定します(合体したままではホッチキスを打てないので)。ステップ4で再び合体させて完成です。
 説明文の下の写真を参照しながお読みいただくとわかりやすいと思います。写真右下の番号は説明文の番号を示しています。
 ステップ1
 ➀ 仮り止め用の接着テープを用意します。貼って剥がせるものならセロテープでも何でもかまいません。15~20センチほどにカットします。受け板の開口部が上に向くようにテーブルなどに置きます。接着面テープを横向きに持ち、接着面を裏向きにして縦に伸びるテープUに直角に交差させ交差する面に接着テープを貼りつけます。下の写真でピンク色のマークを付けたのが接着テープ(セロテープ)です。
 ② 柱を垂直に立てるためのガイドにするため、重りの付いたヒモを垂らします。ヒモの上端をセロテープなどで壁に貼りつけます。本例ではクリップでヒモの末端を挟んでいますがそのクリップを重り代わりにしています。
 ③ 柱を立てたときの上側と下側になる適当な2箇所に本品を取付けます。お互いに接近しすぎていない(20センチ以上離れていればOK)ことと使うときに本品が邪魔にならないことを考慮して位置を決めます。上下2か所の位置を決めれば柱の直立は確保されるので、本例のように柱の上部より2箇所に本品を取付けることを推奨します。そうすることにより、柱にもの(X)を取付けたとき本品の固定ポイントがXより上にあるほうが耐荷重が大きくなるためです。(「耐荷重について」の項をご参照ください)。柱の幅面を受け台に落とし込み、手回しネジを締めて柱の厚み面を圧迫して本品を柱に固定します。壁に立てて取付け位置を調整する場合はネジを緩めて本品を上下に動かし調整します。ネジは左、右どちら側に向けることができます。柱を立てたときにネジが利き腕側にくるようにしておくと扱いが楽です。右利きの方はネジを右に、左利きの方はネジを左に向けます。
 ステップ2
 ④ 垂らしたヒモをガイドにして柱がヒモと平行になるように柱を立てます。位置が決まった柱から横に飛び出ている接着テープを壁に押し付けて仮り止めします。柱から一端離れて確認し、問題あれば柱ごと手前に引いて接着テープを外してやり直します。
 ステップ3
 ⑤ 受け台のネジを緩めて柱を抜き取ります。
 ⑥ ホッチキスを利き腕に持ち、テープUを壁に密着するように押さえてテープの端寄りに上側2面下側2面各1か所にステープル針が横向きになるように打ち込みます。これで受け板は固定され仮り止めは不要となるので接着テープを剥がします。開いたスペースに縦に2本並ぶように針を打ち込みます。受け台1つにつきテープUは4面ありますが各面に3本で12本、受け台2つで全部で24本ステープル針を打ち込みます。
 ステップ4
 ⑦ 柱を元の受け台に戻します。ネジを締めて固定しますがあまり強く締める必要はありません。ネジの先端が柱の側面に接触したあと半分から1回りくらいで充分です。目印にしたヒモを外します。以上で完了です。
   
    


 取り外しは取り付けと逆になります。まず手回しネジを緩め柱材を外します。そしてテープを壁からゆっくり剥がして本品を外します。はがしてからテープについている針を抜き取ります。

ターテルT 使い方
 ターテルTを使って2×4材を起して立てる方法をご説明します。ターテルTでは1×4材、2×4材を起こして立てます。2×4材ではDの支持材2本を各受け台に嵌め込みます。1×4材ではそれに加えてEの支持材1本を各受け台に嵌め込みます。
 立て方は➀~⑥までターテルWと全く同じです。違いは最後の⑦で柱を受け台に戻す際に支持材を受け台に嵌め込むところだけです。
 ⑦ 2×4の柱の場合は受け台に支持材D2個を左右に嵌め込みます。1×4の柱の場合はどちらか片側に支持材D+E、反対側に支持材Dを嵌め込みます。下の写真は全部⑦です。


 下は三重県在住の女性のお客様よりいただいた写真です。ご自分でターテルWを使って階段下スペースに1×4材 4本を立て、L字型の整理棚を作られました。
上段の2枚の写真は棚を作る前の階段下スペースの様子です。
下段の2枚の写真は整理棚完成後の様子です。

次は京都市のお客様からです。壁際まではフラットな天井ですが壁際手前から壁に向かって部分的に天井に傾斜がついています。ターテルとラブリコを使ってかなりの収納量のある収納スペースを作られています。


 耐荷重について 

ターテルの場合、耐荷重はホッチキスで壁に保持されている柱にモノを取り付けた場合にホッチキスが抜けることなく柱が壁から前のめりに倒れない限度の重量となります。
ターテルの耐荷重はターテルを設置するポイント(T)と荷重がかかるポイント(K)との位置関係によって変化します。TがKより上に行けば行くほど耐荷重は大きくなります。
ここではターテル2セットを使って柱を2本立て、その間に棚を床面から70センチの高さに設置する場合を具体例としてご説明いたします。
1. 柱に取付けたターテル上下2か所のポイントTがいづれも荷重のかかる棚Kより50センチ以上高い(1.2M以上)場合、耐荷重の目安は10KG~15KGとなります(パソコン1台が2KGなら5~7台分)
2. 逆にTがKより下である(0.7M以下)の場合、耐荷重は5KG~8KGと小さくなります。
3. Kが2か所のTの中間になる(上のTが0.7M以上、下のTが0.5M以下)場合の耐荷重は7KG~12KGとなります。

従って、仮にモノを取り付けるのに必要な柱の高さが例えば0.7Mであったとしても0.7~0.8Mにカットして使うのではなくできるだけ買ったままの長さ(6FTまたは8FT)のまま柱を立てることをお勧めします。

 上記はホッチキス針No.10(8.4×5mm)使用の場合です。タッカーを使用すると耐荷重力を増強することができるので、より大きな耐荷重が必要な場合はタッカーのご利用をお勧めいたします。12×8mmタイプのタッカー針なら壁に付くキズはプッシュピンの約半分ですみます。


 製品仕様書

ターテル 製品仕様書

サイズ(1個) cm

本体の外寸 ターテルW,T共通 (手回しネジ含)13×2×3.5 (幅×厚×奥行)
支持材はターテルTのみ
支持材 D  3.5×2.5×10 (幅×厚×長)
支持材 E  3.5×2×10      ’’

重量 g (1セット)

ターテルW  150
ターテルT  350

使用木材の規格   変色、生節、軽微な割れなど使用機能を損じない
 欠点は許容
付属品(1セット)  ステンレスステープル針 50本
 使用説明書  本サイト上に掲載。本サイト全体が商品の使用説明書になっておりますのでよろしくお願いいたします。

生産国

日本


 ご購入のご案内
上記商品説明を充分お読みいただいた上でご注文賜りますようお願い申し上げます。
ターテルとターテルとは別々の商品としてご注文ください。

 納期
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 配送の方法
普通郵便または宅配便

 価格(税込、送料込)
 ターテルW 750円/セット 
 ターテルT 1,050円/セット 
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C 商品の欠陥による交換の場合 
 返送品が当社にに到着した後、交換品を発送いたします。お客様にご負担いただいた配送料が2,000円以上の場合はお客様のご指定の銀行口座にお振込みします。配送料が2,000円未満の場合は同額分の切手を交換品に同梱します(2000円未満では振込料が送金額に比べて極端に割高になるのでご容赦お願いします)。

 使用説明書

本サイト上に掲載、商品には同梱されません。
商品には納品書のみ同梱されます。

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