ズブの素人が休日サイディング工
 当店の主はこれまで外壁工事と縁もゆかりもありません。外壁工事についてはズブの素人です、しかも高齢です。自慢ではありませんが若いころから運動神経の悪さなら誰にも負けたことはありません。そんな素人が樹脂サイディングによる外壁リフォームに挑戦して、曲がりなりにもやり遂げたというお話です。会社休日に合間をみながらのDIYなので約5カ月かかってしまいました。作業日数で言えば約40日、内1/3は足場の組立、解体、移設に要したと思います。

  耐久性優先
外壁リフォームに求めるものは人によって違います。
外壁のデザインにこだわりのある方にはここで紹介する樹脂サイディングの重ね張りによる外壁リフォームは向いていないと思います。
しかし外壁は見てくれより丈夫で長持ちが大事という方には大いに参考になると思います。
DIYに向いているから樹脂サイディングを使った外壁リフォームがオススメなのではありません。
この外壁リフォームがオススメなのは、外壁の保守に係わる問題を根本的に解決できるからです。色落ちや外壁のクラック、コーキングの劣化などへの対策が長期間不要となります。メーカー保証によれば30年以上の長きにわたってです。
 
  樹脂サイディングって
樹脂サイディングといわれてもご存知の方は少ないと思います。
日本では外壁材といえばサイディング(外壁材)の代名詞になっている窯業系サイディング(以下「窯業系」と呼びます)のシェアーが圧倒的に大きいです。住宅資材について解説する動画などを見てもいくつかある外壁材の候補としてさえ挙げられないケースが多いです。
しかし樹脂サイディングは北米では50年以上の歴史があり今では最もポピュラーな外壁材となっています。日本でも20年以上前から販売されていますが、凍結被害が関心事となる寒冷地を除いてあまり使われていないのが現状です。

 樹脂サイディングの日本の業者ですが、旭トステムさんとゼオン化成さんが代表的と言えると思います。当店では旭トステムさんのWALL Jで施工しました。ですので以下本サイトで述べている全てのことはこのWALL Jを前提にしています。当店がお取引できるのもWALL Jのみとなります。
なお樹脂サイディングの網羅的情報については下記の両社のホームページが参考になると思います。
海外で主流の樹脂サイディング! 種類や工法、選び方を詳しく解説|ソトカベコラム|旭トステム外装|LIXILグループ (asahitostem.co.jp)
ZEON ゼオン化成株式会社 (zeonkasei.co.jp)

  樹脂サイディングの弱点
最初に樹脂サイディングの弱点を挙げておきます。
まず気温の変化によって膨張収縮することが大きな弱点です。
旭トステムのカタログには71度の水(お湯)に浸して取り出し後最大3%の伸縮、実際の試験結果は0%とあります。(性能と特徴|WALL-J|商品案内|旭トステム外装|LIXILグループ (asahitostem.co.jp))
すると3800mmの本体の伸縮の大きさは真夏と真冬の気温差が仮に50度とすると最大で80~100mmとなりそうです。しかしもし最大3%伸縮するなら繋ぎ部分に1インチ=約25mmの重なりを確保せよというメーカーの施工ガイドと矛盾してしまいます。また施工ガイドもある程度の余裕を見て設定されている筈なので実際には施工ガイドの半分ほでの10~15mmほどと推定されます。地域差もあると思いますが。しかし本体が伸縮するということは施工後に変化があるということで、これは他の外壁材にはない弱点です。
 また太陽からの紫外線を受けて劣化が進むことも弱点です。メーカー保証30年ということになっていますがプラスチック素材であるかぎり樹脂の硬化はもっと早く現れてくる気がします。ただ紫外線の影響は全体ではなく日射を長時間受けるある一定箇所に出てくる筈です。その場合部分的な張りかえが比較的簡単にできると言われている(注記参照)樹脂サイディングには致命的な弱点にはならないのではないかとも思います。
 他の外壁材に比較してデザイン性に欠けるのも弱点だと思います。
窯業系のように多種多様なデザインや材料の質感を表現できません。
これは本体の厚み約1ミリと薄いが故の限界です。
また樹脂サイディングでは部材と部材との継ぎ目がランダムに現れるのも外観上の弱点です。窯業系では部材と部材との継ぎ目をコーキングで埋める工法なので継ぎ目が揃います。継ぎ目が縦あるいは横一線に揃っていてきれいに見えます。
樹脂サイディングはコーキングしない代わりに本体をオーバーラップさせて継ぎ目部分からの雨水の侵入を防く設計です。そのため継ぎ目を揃えてしまうと継ぎ目部分から本体が剥離しやすくなるのでそうならないように継ぎ目が同じ位置に重ならないように例えば横張りなら上下の本体の継ぎ目を左右にずらします。つまり意図的に継ぎ目が縦1線に揃わないように取り付けていきます。これも施工上の必要とはいえ外観上の弱点になると思います。
 更に樹脂サイディングを施工した経験のある職人さんが少ないことも弱点です。施工できる業者が少ないため施工コストが割高になりがちです。

注記
 樹脂サイディングでは損傷をうけた場合キズがついた部分だけ張り替えが簡単にできると言われ、実際にジップという金具を使ってその方法を説明する動画がyoutubeにアップされています。ところが工事中やり直しの必要が出て来て施工済の本体を外そうとしたとき思ってもいないことが起きました。やり直ししょうとする本体の上側の嵌め込みをはずそう、そのためにジップを上の本体との間の僅かな隙間に差し込み、上の本体の下端部を引き下げて嵌め込みを外せばいい、そう思ってジップを差し込むのですがテコでも入りません。樹脂サイディングは弾力性があるといっても隙間が1~2ミリしかないところに5ミリほどの厚みのあるジップは全く入りません。このときは結局やり直しをあきらめました。
 これはジップに問題があります。1つはジップ先の厚み、もう1つはジップ先の形です。純製品のジップ先はUの字を逆さまにした形をしています。Uの開口部に本体の下端部を包み込み力をかけてUの底辺から下端部を動かす構造です。しかしU字形では底辺に厚みがあるので僅かな隙間にはいくら力をかけても入っていきません。そこでジップ先をVの字を逆さにした形に変形してみました。最初ペンチでジップ先を挟んで押しつぶそうとしましたが鋼が強靭で変形しません。そこでカナズチで先端の折り返し部分を叩いてみました。今度は変形して狙いのVに近い形になりました。これにより開口部4ミリ先端は2ミリほどに先端部を薄くさせると同時にその形を先の尖った隙間に入りやすい形に変えることができました。
この改造ジップを使って嵌め込みを外してみました。力ずくで隙間に差し込んでいかなければなりませんがこれなら外せます。これにより本体一枚単位の取替が容易にできることがわかりました。これは他の外壁材ではできない芸当です。
 なおもう一度ビデオ(1枚のビニールサイディング(中壁)を交換する方法)を見て気が付いたことですがビデオの大工さんが使っているジップは旭トステムさんの輸入元であるカナダのMITTEN社製のものではありません。大工さんが使っているジップは先端がV字形になっておりまさに当店で改造した下の写真と同じ形になっています。
ジップは樹脂サイディングを取付けるときは必要ないのですが、張り直しが必要になった場合は必須の工具になります。但しMITTEN社製のものは改造してからでないと使えません。


  樹脂サイディングの強み
樹脂サイディングの強みは軽くてしかも耐久性が高い建材だということです。外壁材の最も重要な役割は家を風雨から守ることです。屋根材と同じで高い耐候性が要求されます。樹脂サイディングの原材料の主たるものは水道管に使われている塩ビ管と同じです。この一事で樹脂サイディングがどれだけ水に強いかわかると思います。
樹脂サイディングは厚み約1mmと薄いのでとても軽量です。本体1枚の重さは2KGに満たないです。このため既存壁の上に重ね張りしても建物に負担がかかりません。重ね張りリフォームにはとても適しています。
また切ったりくり抜いたりの加工が他の外壁材に比べて容易なのも強みです。当店では丸ノコ、手ノコ、替刃カッター、万能はさみなどを使って加工しました。丸ノコだと早くカットできますが、ゆっくりでいいなら丸ノコなしでも支障ありません。金属サイディングも窯業系に比べれば軽量ですが、専用の金切バサミや丸ノコは必須です。替刃カッターでは歯が立ちません。
加工が容易であるということはDIYしやすいということになります。
更に加工するときに発生する廃棄物が少ない、ということも特にDIYする場合は利点になります。
樹脂サイディングを加工するときに発生する粉塵を含む廃棄物の発生量は他の外壁材に比べて圧倒的に少なくなります。ノコギリでカットしたときの挽きカスは材料の厚みに比例します。窯業系の厚みは14~18ミリ、金属サイディングも断熱材を含めるとほぼ同じです。しかし樹脂サイディングの厚みは1ミリです。ということは挽きカスの発生量も1/10以下ということになります。また樹脂サイディングではハサミやカッターを使ってカットするケースが非常に多いのですがその場合は挽きカスは発生しません。
更に端切れ材は必ず発生しますが、その処分にも困りません。樹脂サイディングの場合ハサミで小さく切ってプラスチックの家庭ゴミとしてゴミ出しできます。他の外壁材の多くは産業廃棄物としての処分が必要になります。


  外壁リフォームDIYで最大の難所は?
  外壁リフォームをDIYする場合の最大の難関は高所での作業です。一戸建てでは2階3階建てが普通で、2階建ての場合でも5メートル弱の高さの足場が必要になります。
高所作業のための足場を作るには2つの方法があります。
① 足場のレンタル 
② 足場もDIY
当店ではどちらにするか迷いましたが、足場もDIYすることにしました。足場のレンタルの場合、借りられる期限があります。当店では会社休業日にしか時間がとれず、その休日も合間をみながらのDIYですからいつまでという日程を立てられなかったためです。集中して作業できるならレンタルがいいと思います。
当店が足場もDIYした経緯は別ページに詳しく掲載しておりますのでよろしければご覧ください。

 防水シートも胴縁も省略
 さて当店が今回工事する住宅は築34年。建築後15年くらいに一度壁の塗り替えをしましたが、それ以降何もしておらず特に強い日差しと風雨にさらされている南面の壁の傷みは相当進んでいる状況でした。元々の外壁材はムク板の横張りです。重ね張りする場合は既存壁に胴縁を張り、新しい壁材を胴縁に固定していくのが施工上の常識になっています。しかし既存壁がムク板サイディングの場合ネジを直に打つことができます。そのため胴縁は省略しました。また重ね張りでは既存壁の上に防水シートを張るることがことが常識とされているのですがこれも省きました。理由は既存壁に現状風雨を受けていて特別問題ないのですから、重ね張りした後仮に雨が進入しても現状以上の問題は起こりようがないと考えたからです。
既存壁は板壁の横張りなのでこれが水平を確認するためのガイドになったことも助かりました。そのため工事する上での必須用具とされる水平器も使いませんでした。もしこのようなガイドがなく、また直にネジを打てない既存壁の場合は(そういうケースが大半だと思います)胴縁を取り付ける必要があります。その場合は胴縁を打ち付けた後、20~30センチ間隔で水平ラインの墨付けを先にやっておくなどするとサイディングを張りながらいちいち水平を確認するより能率が良いと思います。

 北米の大工さんが先生
 どんな職業でも初めからプロは存在しません。どんなプロも最初は素人です。素人が学習と経験を積んでプロになります。ただこれまで素人がその仕事に従事することなく仕事を覚えるのはとても難しいことでした。しかし今は違います。やる気さえあればその道のプロが教えてくれる時代です。しかも無料で。20年前だったらズブの素人が今回のような外壁リフォームをDIYするなど考えもしなかったと思います。しかし今はその道のプロが惜しげもなくノウハウを教えてくれる誠にありがたい時代です。
というわけでズブの素人である当店はyoutuberでもある樹脂サイディング職人にビデオを通して弟子入りすることにより1からやり方を学びました。北米の大工さんが先生ということになります。言葉は違いますが現場作業ではそれはあまり関係ありません。やっているところを見ればどなたでも理解できると思います。vinyl siding で検索すれば沢山の投稿がヒットします。当店が非常にお世話になった番組を参考まで下に列挙しておきます。メーカーの施工マニュアルも参考にしました。ただきっちりとは守ってはいません。あるところは省き、あるところはやり方を変えました。マニュアルに忠実に工事を行っていません。極言すれば本人が納得できれば何をやっても良い、それがDIYの良さだと思います。
したがって工事ポイントを次項以降述べていきますがあくまで当店が実際にやってみた上での当店流のマニュアルであることをご承知おき願いたいと思います。



 本体の嵌め込みに手こずる
 樹脂サイディングは役物を先に施工しその後本体を張っていきます。しかし最上部に取り付けるJチャネルとトリムは高所に足場をつくってからでないと施工できないので通常後回しになります。
まずスターターを取付けスターターの下部にある3重の折り返し(Aと呼ぶ)に本体の下端Bを嵌め込みます。スターターのAと本体の上部についた折り返しは全く同形なので、本体を1段ずつ上に張り上げていくのは先に張った本体のAに次の本体のBを嵌め込み、上の本体のAのすぐ上についている横長の穴にネジ止めするという作業の繰り返しになります。ビデオを見ているとどのyoutuberもこの嵌め込みをいとも簡単にやっていますが、当店はコツをつかむまで相当手こずりました。やっているうちに嵌りにくい場合は上から叩いてAとBを密着させ、Bを上方に押し上げるとうまくいくということがわかってきました。AとBの嵌め込みは下の写真のようになっています。嵌め込むためにはその先端が釣り針のように曲がったBを入口が狭く奥は膨らみのAの折り返しの隙間に入れる必要があります。もしBの先端部がAの隙間の手前にあればいくらBを押し上げても嵌め込みできません。なので上にくる本体のBの周辺を叩いてAの折り返しの隙間の下にくるところまで密着させ、そこからBを上に引き上げればよいということになります。
逆にこの嵌め込みの形を見れば、本体をただ下に引っ張っるくらいでは嵌め込みは外れにくいことがわかります。


 継ぎ目を消す
 家の顔に表と裏があるとすれば、各段のスタートは裏側から始めます。これは家の表方向から外壁を見た場合にサイディングの継ぎ目を目立ちにくくするためです。本体の継ぎ目が家の入口方向から(通常玄関側)から見えにくくするために入口と反対側(奥側)から始めて入口方向へと順に本体を取り付けていきます。
樹脂サイディングでは本体の長さ継ぎをする場合、先に貼った本体に2~3センチ重なるようにその次の本体を上から被せるようにして貼っていきます。継ぎ目は先に貼った方向から見ると目立ちますがその逆つまり後から貼った方向からは見えにくくなります。まるで継ぎ目が消えたように見えます。こうすることで家の入口方向から見た表の顔の印象を良くすることができます。裏側から見ると継ぎ目が見えますが(写真上)、表側から見ると継ぎ目は消えます(写真下)。



 コンパクトな足場を使う
 樹脂サイディングでは重ね張りの関係上必ず下から1段づつ貼っていくことが基本になっています。壁の端から端まで貼り終わってから1段づつ上っていくのが基本です。これを守っていこうとすると少なくても壁一面の長さの足場が必要ということになります。ところがDIYで足場を組む場合、足場の大きさをできるだけコンパクトにしたいわけです。そこで当店では足場が必要な高所については壁を縦分割して貼ることにしました。当店の場合東西の壁の長さは9Mあるのですが、足場の長さ5.4M=3スパン(1スパン=1.8M)を北端を起点として設置し、まず北側半分を最上部まで張ります。その後北側から数えて1番目と2番目のスパンの足場を解体し3番目のスパンの南側に4番目および5番目のスパンとして組み直して残りを完成させました。階段は3番目のスパンに設置し、階段は移動する必要がないようにしました。表側の本体を貼るときに北側から伸びて来る本体との位置調整が必要な場合はどちら側にも手が届く3番目のスパンで行うことにより最終的には端から端まで1段づつ上っていったのと同じ仕上がりになるようにしました。下の写真は北側の壁ですが、階段のあるスパンの右側(西側)のスパンで先に施工し(写真上)、その後階段スパンの左側(東側)に足場を移設して一番の高所での施工を完了しています(写真下)。


 切り抜きの箇所の位置合わせを易しくするには?
 外部コンセントや換気扇などにかかるため本体の切り欠きが必要な時は、短めの本体を使った方が楽に作業できます。そうすることにより継ぎ目は増えるというデメリットがありますが、切り欠くのも取り付けるのも簡単になります。例えば張り始めの起点から2メートル先の位置に外部コンセントがある場合、1枚3.8メートルの本体を半分にカット(1.9メートル×2)し、先に切り欠きなしの1枚目を貼り、2枚目は重ね合わせのための長さに余裕を持たせて、例えば端から14センチのところから外部コンセントに合わせた切り欠きを作ります。すると計測した切り欠き位置から多少ずれても一枚目との重ね合わせを調整するだけで外部コンセントをピッタリと納めることができます。一方3.8メートル本体のまま切り欠きすると狙った位置からずれるとかなり面倒なことになります。

 長く伸びる管を貫通させる法
 エアコンの室外機に伸びる管などを通すには管の太さの切り欠きと管を切り欠きの中に差し込むための開口部が必要となります。金属サイディングなど他の外壁材の場合、このようなケースでは初めから開口部のある切り欠きを作り、管を中に差し込んだ後その開口部を埋めるというやり方しかありません。樹脂サイディングでは切り欠きの下側を垂直にハサミで切り口をつけるだけで対処できます。樹脂サイディングは柔軟性があるので切り口を前後に開いて管を切り欠きに納めます。管を納めた後閉じた切り口の筋は残りますが切り取ってはいないのでそのままで目立ちません。更に防水のため切り口の裏側を端切れ材などで既存壁にネジ止めしておくなどすると万全です。そういう対応ができるのも樹脂サイディングの利点です。

 適材適所に道具を使う
 本作業する上での必須工具はメジャー、三角定規、インパクトドライバーまたは電動ドリル、ハサミ、替え刃カッターです。あとは好みで追加します。樹脂サイディングをカットするために丸ノコ、手ノコも使いましたが小さなノコギリが付いた替刃カッターは特に重宝しました。
動画などを見ているとハサミで縦も横も自由自在にカットしていましたが、当店ではうまくいきませんでした。使っているハサミに違いがあるのかも知りませんが、本体のネジ止め部分のすぐ下にある3重になった折り返し部分(上記嵌め込みの項のA)はハサミでカットすることは不可能でした。
そのため折り返し部分をカットするときには替刃カッター付属のノコギリで表面に浅くノコを入れ(上から1~2枚カットする程度)残りはハサミで切り落とすといった使い方をしました。また縦切りには替刃カッターを多用しました。特に1~3メートルと長い縦切りをするときはカットするラインに合わせて定規を置き定規にそってカッターを滑らせて本体表面に切り筋をつくり、切り筋から前後に数度折り曲げるだけで切り離しができます。針金を切るときによく逆方向への折り曲げを何度かくりかえしますがあれと同じです。ただずっと簡単です。替刃カッターを使うと2M3Mの長い縦切りもとても簡単にできます。これはゴミ出しするために残材を切り刻むときも大いに助かりました。
丸ノコは能率が良いのときれいな切断面が得られるので使いました。丸ノコを使う場合は必ずチップソーの歯を通常とは逆に取付けます。これは通常の付け方だとノコが当たる力が強すぎて本体に損傷を与えてしまうことが多いからです。
あと樹脂サイディング本場では張り付けにクギを使いますが、当店ではメーカーの施工ガイドどおりネジ止めしました。施工ビデオなどをみるとほとんどネジ止めにはインパクトドライバーを使っていますが当店では小型の電気ドリルを使いました。理由は軽くて扱いやすいからです。7つ道具を腰に提げて作業しますが、道具が多いので少しでもコンパクトで軽い道具を使うように心掛けました。

 トリムってどう使う?
Jチャンネルは主に本体の端部の見切り材でその使用方法はすんなりわかります。本体の上端の見切りにはJチャンネルに加えてトリムを使うのですがその使用方法をよく理解できませんでした。しかし使ってみてようやくわかりました。
トリムは本体上端の見切り材ですから大きな窓の下部や外壁の最上段で使われます。下から張り上げて行く樹脂サイディングでは最上段の本体がどの高さになるかわかりません。どの高さになっても必ず最後の本体の上端部をしっかり挟んで外れないようにする役目を果たすのがトリムです。トリムをJチャンネルの内側に取り付けることにより本体の上端部を差し込む狭い隙間が奥側と手前側と2つできます。もし最上段の本体の高さがサイディング形状の凸の位置にあるときは本体の上端部を手前側の隙間に挿入し、もし凹の位置にあるなら本体の上端部を奥側の隙間に挿入するようになっています。よく考えられていますね。なおメーカーのマニュアルでは窓の上下にJチャンネルを合わせて使うように推奨されていますが、当店では長い窓の下側にはトリムを使いましたが、窓の上は全く使いませんでした。窓の上側の本体はネジ止めされているので下方にずれる心配がないためです。
 ところでマニュアルではこの挿入部分に専用の用具で本体の上端あたりに30センチ間隔で爪を立てるようになっています。その爪をJチャンネルの内側にひっかかかるようにすることで本体を抜けにくくするためです。しかし当店は爪は必要ないと判断して何もしませんでした。理由は何もしないでも本体が挿入したJチャンネルやトリムから抜ける可能性はほとんどゼロだからです。
本体上部が抜けるには最上段の本体全体が下方に引っ張られる必要があります。そのためには最上段とその一段下の本体との嵌め込みが外れて本体が下に動けなければなりません。しかしこの本体同士の嵌め込みは何もしなければまず外れません。下に動かなければ最上段の本体が挿入部分が外れることはないと考えました。
下の写真の上側は西側外壁の最上部です。切り取られた本体の上端は凸部にあたるためJチャンネルとトリムとの手前側の隙間に挿入されています。
下側の写真は東側外壁の最上部です。切り取られた本体の上端は凹部にあたるため奥側の隙間に挿入されています。



 樹脂サイディング工事費用 
 樹脂サイディングをDIYでやった場合おおよそどれくらいかかるのか?
ご参考までに当店の施工実績から概算してみます。当店現場のケースですが大体の目安にはなると思います。
当店では防水シートも胴縁も施工しませんでしたが、外壁材が板壁でないケースがほとんどでその場合は胴縁を既存壁に張ることが必須となるのでその費用も含めました。防水シートは張らない前提です(施工ガイドと異なる)。総2階建て、建築面積約130m2(39坪)の1戸建ての場合です。
1. 胴縁  杉胴縁1820×45×18mm 258円/本 (コメリ)
  180本(使用本数)× 258円=46,440円
2. 樹脂サイディング(Oregon Pride) 役物+本体 約1,200,000円
3. 足場代 外注の場合約200,000円が相場、 単管を使って自作ならクランプ代を含め約120,000円
4. ステンレスネジ代 約20,000円 
以上合計約1,466,000円 税込(足場外注の場合)、約1,386,000円税込(足場DIYの場合)となります。他に何も持っていなければ工具代が必要になります。

 部材の拾い出し
 樹脂サイディングによる外壁リフォームのDIYは部材の拾い出しから始まります。
部材は大別すると役物と本体になります。役物は要するに本体を張る箇所の周囲をめぐらす部材であり、もしくは窓など本体を張らない箇所の周囲をめぐらす部材です。
1. 役物
通常4面ある外壁の各面の壁の上端はJチャンネル+トリム、両側はJチャンネルまたは出隅または入隅、下端はスターターを使います。
本体を張らない窓その他の周囲の役物については3方または4方にJチャンネルを使います。Jチャンネルと合わせて下側にトリムを使うケースがあります。トリムを使うかどうかは個人の判断で良いと思います。なぜならトリムを使わなくても外壁の最上段以外は大きな問題がないからです。
外壁の各面について必要な長さを求め、その総計を各役物の長さで割り返せば各役物の必要な本数が出ます。例えばJチャンネルの長さ合計が170MならこれをJチャンネルの長さ3.6Mで割り返して47本、15%の予備をみると54本というふうに計算します。
なおスターターについて、余裕をみる必要はないです。なぜならスターターは本体の上端にある折り返しより上を残しその下を切り取ったのと実質的に同じなので、残した折り返しより上が代用に使えるからです。実際に本体を張っていくと必ず切残しが発生します。そしてほとんどの場合本体の上側が残ることになります。なぜなら下から張っていくので最後の一枚を張るとき本体の上側が余りになることが多いためです。したがってスターターが仮に足りなくなっても、この切残しを使えるので足りなくて困ることはまずありません。少し足りない位で良いいと思います。各役物の計算式は次のとおりです。部材の拾い出しはご自分で算出する必要があります。やり方は外壁の各面で必要な各役物の長さを合計したもの(TL)を下記算式にあてはめれば各部材の必要本数を求めることができます。
Jチャンネル=TLメートル÷3.6(1本あたりメートル)×1.15(予備含む)
トリム = TLメートル÷3.6×1.05(予備含む)
出隅・入隅=TLメートル÷3×1.05 (予備含む)
スターター=TLメートル÷3.6 (予備なし)
2. 本体
 本体も最終的には枚数を拾い出しますが、それにはまず施工必要面積を求めその必要面積を本体1枚あたりの施工有効面積0.773㎡で貼り返すことにより枚数を求めます。外壁各面の施工必要面積TSは外壁の総面積(長さ×高さ)から窓など本体を施工しない部分の面積(控除面積)を引いて求めます。
そうして求められた総面積から控除面積を差し引いた施工必要面積が仮に160㎡ならこれを本体の1枚あたりの施工有効面積で割り返して207枚、5%の余裕をみると217枚となります。
Jチャンネルでは15%の予備をみましたが、本体では予備を5%とする理由は本体の場合継ぎ足し使用が可能ですが、Jチャンネルでは継ぎ足し使用がしずらいケースが多いからです。例えば窓の左右上下に取り付けるJチャンネルは1本でないとかなり不細工になってしまいます。本体の枚数を求める算式は次のとおりです。
本体=TS÷0.773×1.05
3. ビス
メーカーのマニュアルには必要なビスを割り出す計算式が掲載されていますが例えば35~40坪の住宅なら胴縁への固定用ビス25mmは2000本(4箱)が一応の目安になります。仮に足りなくなっても市販のステンレスを混ぜて使うなどすれば困ることはないと思います。

 樹脂サイディングご購入までの流れ
樹脂サイディングを使って外壁リフォームをDIYでみようという方にその具体的な手順をご説明いたします。尚当店で販売できるのは旭トステムのカタログLIXIL|WEBカタログ|樹脂サイディングWALL-Jカタログ2023.4に掲載されたWALL J のみとなります。
樹脂サイディングは窯業系サイディングに比べて高価と言われていますが、当店で今回使った標準品の場合汎用品である窯業系サイディングに比べてやや高い程度です。上記カタログの別紙に価格表がPDFで見れるようになっておりますので部材の拾い出しができればご自分でおおよその見当をつけることができます。
メーカー価格表は工務店がお施主さんに販売する希望価格ですので当社の見積額が価格表によって計算された総額を超えることはありません。
ただ為替その他の要因によりメーカー価格は最近よく変更になりますのでその点ご留意お願いいたします。

ステップ1 まずご自身でDIYでこの工事が可能か否やご判断をお願いします。上記に掲載したyoutuberの動画などをご参考にしてご判断お願いします。動画をみて自分でも出来るという確信がもてなければご無理なされないようにお願いします。出来るかどうかではなく、やりたいかどうかのほうが大事だと思います。楽しめそうだと感じないかぎりればやめた方がいいです。
ステップ2 部材の拾い出し、上項を参考にして算出お願いします。
ステップ3 下記をクリックして見積フォームに必要事項をご記入の上送信お願いします。
見積依頼する
ステップ4 ステップ3に対する当方から送信する見積書をご検討頂きます。OKであればその旨ご送信いただければ契約成立になります。

ステップ5 当方よりメールにてPDFフォームの請求書をお送りいたします。お支払いは請求書記載の当社銀行口座への振込をお願いします。

 引渡場所
4トンユニック車が横付けできる場所であることが条件になります。

 配送方法
4トンユニック車による

 お支払い
銀行振込 振込先
南都銀行 桜井支店 
普通預金 口座番号 0745295

口座名義人 カ)アスカ
 納期
入金確認後3週間以内。発送はお客様からの商品代金入金確認後発送予定決まり次第メールにてご連絡いたします。貨物受け渡しのお立会いをお願いすることになりますので当日都合がつかない場合は代替日のご連絡をお願いします。
 キャンセル
契約後発送準備完了前までのキャンセルはできますが、発送準備完了後のキャンセルはできません。キャンセルの場合は返金にかかわる振込料770円がお客様のご負担となります。
 返品
お客様のご連絡を受け当方が商品に欠陥があることを確認し次第交換品を発送いたします(送料当社負担)。
 使用説明書
同梱されません。お困りの節はご質問事項を本ページトップの「お問い合わせ」欄にご記入頂くかやメールによりお問い合わせください。電話でのお問い合わせにも対応いたします。



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